史上初の予約だけで百万枚!ビートルズ曲中ジャズマンに溺愛された斬新ブルースとは?

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ビートルズ画像

Can't Buy Me Love

1964年1月29日、2月25日、3月10日収録 

  

 Contents

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予約のみで英国100万枚、米国210万枚の快挙 

 

1964年3月20日にリリースされたビートルズのオリジナル・シングル盤が「キャント・バイ・ミー・ラブ」(B面は「ユー・キャント・ドゥー・ザット」)は予約だけで英国では100万枚、アメリカで210万枚という偉業を達成した。

 

このことは『ギネス世界記録』にも記載されている。

 

アルバムとしては同年7月リリースの『ハード・デイズ・ナイト』のB面7曲目に収められた。そして多くのアーティストがカバーした点でも代表的なビートルズ・ナンバーとして知られている名曲だ。

 

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ブルースがベースの楽曲ながら、一瞬煌めくサビ

 

この「キャント・バイ・ミー・ラブ(Can't Buy Me Love)」という曲は、若き天才ポール・マッカートニーによるブルース・ポップの完成形とも言えるバランスがよいクールな曲である。

  

初期ビートルズの必殺パターンであるブルースとポップの絶妙なブレンドが効いている曲の中でも、まさにピカイチの完成度だ。

 

ブルーノートの絶妙な使用だけでなく、全体を通して使われるシンコペーションのセンスがすこぶる良い。そういう文脈の中での、ほんの一瞬の景色が変わるサビは非常に斬新でカッコいい。

 

だからこそ、レコードとして史上初の「予約だけでミリオンセラー」を記録したのである。

 

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 エンパイア・プールでのライブバージョンも圧巻! 

 

この曲ならびにアルバム『ハード・デイズ・ナイト』が発表された1964年英国はロンドンの「エンパイア・プール(現・ウェンブリー・アリーナ)」での映像も素晴らしいライブ演奏が聞ける。

 

ポールのシャウトが随所に入るワイルドなボーカルは言うまでもなく、手にして間もないリッケンバッカー12弦ギターを弾きこなすジョージ・ハリスンも渋い。

 

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ジャズマンが大好きでカバーしまくる曲

 

 

ビートルズ・ナンバー自体がジャズを含む多くのアーティストのカバー対象となっているのは言うもでもない。

 

なにせ当時のブルース系の楽曲(ロックンロールもR&Bも含む)の中で、このような斬新なサビが効いている。

 

しかしその中で、楽曲自体の構成にうるさいジャズプレイヤーたちが純粋に曲の良さによってこぞってカバーした曲でもある。そういう観点からは最もカバーされているという印象がある。

 

要するにジャズ・プレイヤーにとってアドリブ=インプロヴィゼイションをする楽しさに溢れる構成と、アドリブの根本のモチーフとなるテーマのメロディが、音楽的にクールな曲なのである。

 

また、ジャズ・ボーカルのジャンルではエラ・フィッツジェラルドの熱演があまりにも有名であり、ポール自身も絶賛を送っていた。

 

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この曲のパリでのベーシックトラック録音は「おまけ」だった

「キャント・バイ・ミー・ラブ」の録音は3回に亘っておこなわれているが、その1回目であり大部分を決定するベーシックトラックの録音は1964年の1月29日、EMIのパリ・スタジオで録音された。しかしその作業はいわば「おまけ」だった。

 

なぜなら、その日の録音作業は、1963年にリリースされてイギリスで大ヒットを飛ばした「シー・ラブズ・ユー」と「抱きしめたい」のドイツ語バージョンの収録であったのだ。

 

現在ではそのようなことは考えにくいが、当時の事情として外国のタレントを自国語で売り出すことは世界共通のデフォルトであったのだ。

 

アメリカなどの英語圏は問題ないが、当然ドイツのレコード業界からは、「自国語でないと売れないのでドイツ語バージョンを」との強いリクエストがあった。

 

それに応えるためにジョージ・マーティン率いるレコーディング・スタッフが、ビートルズを追いかけるようにパリまでやってきたのだ。当然ビートルズは気乗りがしなかったが、断るわけにもいかずに録音をした。

 

「抱きしめたい」は、既発盤で使ったベーシック・トラックを持ち込んで、ドイツ語のボーカルをミックスした。

 

ところが「シー・ラブズ・ユー」はベーシック・トラックがすでに処分されていたのだ。止むを得ず楽器演奏とドイツ語ボーカルを生録音して制作された。

 

このおかげでドイツ語版ではあるが「シー・ラブズ・ユー」のステレオ・バージョンが初めて生まれたのだ。

 

というのも、「シー・ラブズ・ユー」のオリジナル英語版に関しては、モノラルのシングル用マスター・テープしか残されていない。よってステレオでのリマスターは現在でも不可能であり、ステレオ・バージョンは世界中どこにも存在しないのだ。

 

※「She Loves You」ドイツ語バージョン

 

※「I Want To Hold Your Hand」のドイツ語バージョン

 

パリでドイツ語だけでなく英語バージョンも録音されていれば・・・と残念に思うファンの数は計り知れないが、後の祭りである。

 

その日、レコーディングはかなり順調に進んで時間が余った。そこで、次回シングル用の「キャント・バイ・ミー・ラブ」も録音もしておこうということになり、取り掛かるや、わずか4テイクでベースとなる音源のほとんどが録音できた。

 

それが後にギネスに載るヒットとなるのだから、やはり彼らは持っているのだ。

 

そしてこのレコーディングの3日後、ビートルズとマネージャーのブライアン・エプスタインは、「抱きしめたい」が全米ヒット・チャートでトップに輝いたことを伝える「ビルボード」誌を手にすることになる。

 

※ アルバム『ハード・デイズ・ナイト』フルプレイリスト  

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