初期ビートルズがギターバンドの面目躍如!ソリッドでゴキゲンなロックチューンとは?

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 You Can't Do That

1964年2月25日、5月22日収録 

  

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ブルージーかつポップでシャウトが最高な初期ビートルズの堂々たるロック

 

アルバム『ハード・デイズ・ナイト』のB面5曲目「ユー・キャント・ドゥー・ザット(You Can't Do That)」は、ジョン・レノンによるストレートなロックチューンである。しかしそこはビートルズ、彼ららしい曲の構成とサウンドになっている。

 

イントロのジョージ・ハリスンがリッケンバッカー12弦ギターで奏でる、一風変わったリフもとてもクールだ。後のブリティッシュ・ハードのレッド・ツェッペリンやディープ・パープルに影響を与えていそうな名リフだと思う。

 

歌に入ると典型的なブルース進行でメロディもブルーノートを使ったブルージーな12小節2回繰り返してから突入する8小節のサビは、一転してダイアトニックスケール(一般的なドレミ音階)で景色を変えてポップなコーラスワークだ。

 

ブルースとポップの絶妙なブレンドこそ、初期ビートルズの必殺パターンのひとつである。他には「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」「「キャント・バイ・ミー・ラブ」などがある。

 

ライブでのこの曲も最高だ。

  

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間奏のギターソロはジョン・レノン 

 

この曲の間奏のギターソロはジョンが弾いている。たまにはリードギターを弾きたいということで、そうなったらしい。

 

このソロがもう仕上がり過ぎてたまらない。後期の「ゲット・バック」で聞かれるジョンの印象的な「複音チョーキング」は、この時すでに技として使われていた。

 

同様に「ゲット・バック」で見せている高音のセブンスコードを「ジャカジャカジャッ」と、素早くも叩きつけるように弾く技なども披露している。

 

ジョージのリフと言い、ジョンのソロと言い、こういう演奏を聴くとやはりビートルズはギターバンドだと唸ってしまう。譜面では表せない、バンドとしての「ノリ」や「グルーブ」がびんびん伝わってくるサウンドだ。

 

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リッケンバッカーが一躍有名になったのは? 

 

ジョン・レノンはビートルズのデビュー当時から、リッケンバッカー325をメインギターとして愛用していた。一方、ジョージ・ハリスンのメインギターはグレッチ・カントリー・ジェントルマンという名のセミアコースティックギターだ。

 

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しかしジョージは1963年、休暇がとれた時に、アメリカで暮らす姉のもとに遊びに行った折にリッケンバッカー425を手に入れた。これを気に入って、帰国後のテレビ収録などで使用したのだ。

 

また、ジョンはリッケンバッカー社に325の特注モデルを1963年にオーダーしていた。

 

そういう縁があって、彼らがアメリカ遠征で初上陸してすぐ、リッケンバッカー社からビートルズにプレゼントが贈られた。

 

ジョン・レノンには特注のリッケンバッカー325、ジョージ・ハリスンには12弦ギター・リッケンバッカー360/12、ポール・マッカートニーにはエレクトリックベース・リッケンバッカー4001Sがそれぞれ贈られた。

 

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ヘフナーのバイオリンベースがお気に入りのポールには、ネックが太いリッケンバッカーのベースは弾きにくいのか、もらってからしばらくは使用しなかった。

 

しかし中期以降、そのソリッドなサウンドの良さからであろうか、リッケンバッカーのベースを多用するようになる。最後はヘフナーに戻るが・・・・。

 

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ともあれ、このプレゼントに応えるべく、翌日のエド・サリバン・ショーに登場したジョンは手にしたばかりの特別仕様のリッケンバッカー325で演奏した。

 

 

この番組の視聴率は72%で、アメリカ国民の6割が観たと言われるほどの社会的現象となった。結果的にジョンが弾いていたリッケンバッカーの名も売れて、一躍有名となったのである。

 

そしてアメリカ遠征から戻ってすぐのレコーディングにて、ジョージが初めてリッケンバッカーの12弦ギターを使用したのが「ユー・キャント・ドゥー・ザット」である。

 

この12弦のほろ苦くも煌めくギターサウンドは、ほどなくビートルズサウンドのひとつのアイコンとなる。

 

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ストレートなロックが聞ける最後のアルバムか?

 

この曲自体はゴキゲンな雰囲気だが、この時期は初期とはいえどもほんの少しずつ中期のサイケデリックなビートルズに近づきつつあったのは間違いない。

 

だからこのようなストレートなロックチューンは、この先はあまり聴かれなくなる。つまり、たとえ演奏はロックっぽくても音楽的な実験や試行錯誤が入ったり、詞の内容が内省的なものや哲学的な曲想が増えてゆくことになる。

 

そして『ハード・デイズ・ナイト』の次のアルバム『ビートルズ・フォー・セール』では、キャッチーなアルバムタイトルとは裏腹に、歌詞の内容において「翳り」のある曲が増えてゆく。

 

  

それはアルバム・ジャケットの憂いを帯びた4人の表情にも表れている。この後の『ヘルプ!』に至ってはサウンドはポップだが、表題曲の「ヘルプ!」を筆頭に、赤裸々に心象風景を描くような歌詞がどんどん極められてゆく。

 

そして『ラバー・ソウル』からは中期のサイケデリック・ビートルズの開花が始まることになる。

 

初期ビートルズのピークとも言える『ハード・デイズ・ナイト』のエピソードは、あとひとつかふたつ、書こうと思っている。

 

その後は、ビートルズの変貌がじわじわと表面化しゆく『ビートルズ・フォー・セール』およびそれ以降のアルバムを、順次掘り下げていくつもりだ。

 

このブログでは、彼らのオリジナル・アルバム全12枚はコラムとしてコンプリートし、その後はアルバムに入っていない名曲をひとつ一つ掘り下げる予定である。 

 

※ アルバム『ハード・デイズ・ナイト』フルプレイリスト  

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