ビートルズ曲中でクラシックギター歴史的名器にて劇変し情緒溢れる名曲になったのは?

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And I Love Her

 1964年2月25日~27日収録

 

 Contents

 

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情緒溢れる初期の名曲

 

ビートルズの「アンド・アイ・ラブ・ハー」はアルバム『ア・ハード・デイズ・ナイト』の中でもとりわけ情緒たっぷりで印象深い、ポール・マッカートニーによる曲である。

 

メロディの美しさや甘く切ないボーカル、コーラスラインの秀逸さはもちろんだが、この曲の決め手となるのは何と言ってもジョージ・ハリスンが奏でるガットギターの素晴らしい音色による彩りである。

 

映画『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ! 』の中のテレビ局のシーンでも、スタジオ内でこの曲の演奏をテレビ撮影している部分がある。そこでもジョージがガットギターを、非常に粋な佇まいで奏でている。

 

 

 

当然だが、そのシーンも含めて映画の中の演奏はレコードの音にlip-syncing、口パクでボーカルを(楽器も同じく)合わせて撮影している。

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 完成前のバージョン

 

実はこの曲の完成前のアレンジによるバージョンは、完成形と比べて全然印象が違うのである。このコラムの冒頭にURLを掲載したバージョンがレコード用の完成形である。

 

ぜひ一度、下記のAnthology 1のVersionを聴き比べてみて欲しい。

 

 

どう違うかというと・・・

 

ジョージがガットギータで弾いている印象的な部分が「無い」か「エレキギター」「12弦ギター」にて弾かれていて、最終形を知らなければ決してダメとは思わないが、知ってしまうと、もうまったく完成度が違う。

 

具体的にはまずイントロだが、完成版のガットギターで始まりジョンのギブソンJ-160Eのコード・ストロークが追いかける4小節のイントロも、完成前はガットギターの音は入らず、単にジョンのコード・ストローク2小節のみであり素っ気ない。

 

次に、完成版の2コーラス目から入るガットギターの音色が心に沁みるようなアルペジオ(分散和音)は、完成前はエレキギター(おそらくグレッチ・カントリージェントリマン)で弾かれており、全然印象が違う。

 

そして、完成版のガットギターによるシンプルで味わい深く、優しい弾力性に富んだ音色の間奏は、完成前は同じフレーズがリッケンバッカー360/12、12弦エレキギターで弾かれている。

悪くは無いが、曲想とのマッチングは完成版のガットギターの方が遥かに優れている。

 

さらには、完成版でのサビの「A love like ours could never die」に先駆け小節の頭にボロロンと弾き下ろすコードが非常に効果的だが、完成前はそのサビ自体が無かった。

 

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ビートルズに一番近い男

 

ざっと挙げただけでも、曲の印象を決定づける多くの箇所での効果が違いすぎるのである。

 

さてこのパワーあるガットギターは何者か?

 

実はスペイン製の「ホセ・ラミレス(Jose Ramirez)」という「歴史的名器」の部類に属する高価なギターである。

現在の価格は安いものでも数十万円、高いものは数百万円もする代物だ。それぐらい出してでもその音色が欲しい音楽家がいるという、超ツワモノのギターである。

 

映画の映像の中でホセ・ラミレスを爪弾くジョージがアップとなった時に、ガットギターのサウンドホールから中に貼られている「Jose Ramirez」のロゴが確認できる。

 

このギターをジョージは、ドイツ出身のベーシストにして画家であるクラウス・フォアマン(Klaus Voormann:英語読みでヴーアマンとも呼ばれる)からプレゼントされたのだ。

 

ビートルズはドイツのハンブルグでの巡業中にフォアマンと出会った。その後のフォアマンはビートルズと縁が深く、「ビートルズに一番近い男」と呼ばれている。

ビートルズ中期の名作アルバム『リボルバー』のジャケット・イラストを描いたことでも知られている。

 

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向かって右下のジョージの頭の上に、顔だけ出している自分自身を描いている茶目っ気のある人物だ。これはすぐにジョン・レノンが気が付いて指摘したそうだ。

 

ラフ段階での『リボリバー』ジャケット・イラスト

 

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フォアマンとアストリッド


クラウス・フォアマンはジョージとリンゴと一緒に同居していた時期もあり、そういう訳でジョージとは特に親密であった。

 

また、ジョンの『Imagine』やジョージの『All Things Must Pass』ヨーコ・オノの『Plastic Ono Band』などの1970年代ロック史上に残るアルバムにベーシストとして参加している。

 

ジョージ・ハリスンと、ジョージが師事したインドのシタール奏者のラヴィ・シャンカールが主宰したバングラデシュのチャリティコンサートにもフォアマンはベースで出演している。

当時は確か音楽ジャーナリズムの中では「クラウス・ブーアマン(ヴではなくブ)」として紹介されていた。

 

余談だが、フォアマンはビートルズとハンブルグの地下にあるクラブで出会った頃、いつも一緒にいたのはアストリッド・キルヒャーだった。

アストリッドは女性写真家であり、彼らに脱リーゼントの髪型を提案した人物だ。そしてフォアマンは彼女の「元カレ」だった。

 

彼女は当時ビートルズのベーシストであった眉目秀麗なスチュアート・サトクリフに惹かれ、サトクリフも彼女に好意以上のものを抱き、二人は恋に落ちる。

サトクリフはその後アストリッドの影響を受け、画家を目指してビートルズを脱退する。

 

その結果、ギターを弾いていたポール・マッカートニーがベースに転向することになる。このあたりの巡り合わせもひとつ違うと、ビートルズの影響力を考えれば、今とは違った歴史の流れになっていたであろう。

 

1961年春にはドイツにてアストリッドと暮らしながら、奨学金を得てハンブルク美術大学に通うが、1964年4月に脳内出血で夭逝することになる。

 

オノ・ヨーコによればジョン・レノンは生前、スチュアート・サトクリフの名を度々口にし、偲んでいたようだ。そしてアストリッドから形見分けされたサトクリフの遺品であるマフラーを、生涯手放さなかったと。

 

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サトクリフとアストリッド

ビートルズの「ベイビーズ・イン・ブラック」はサトクリフが急逝して悲しみに明け暮れる「喪に服した(in black)」アストリッドのことを歌った物悲しい曲である。

 

この辺りのことは、いつかアルバム『ビートルズ・フォー・セール』周辺のエピソードを書く時に避けては通れないので、この辺りにしておこう。

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歴史的名器ホセ・ラミレスの威力

 

さて、その「ホセ・ラミレス」の話に戻ろう。

 

クラウス・フォアマンの回想によれば、1963年にスペインのマドリードに行った折に、そのガットギター「ホセ・ラミレス」をとても気にって購入した。

ロンドンに戻って、ジョージ・ハリスンの前でそのギターを弾いた時に、その音色にジョージが「ノックアウト」されたということだ。

 

「だからジョージにあげたんだよ」

超高価なギターを、ジョージが気に入ったからとあっさりと贈呈するとは、やはりビートルズ周辺の人物もただものではない。

 

そのギターを引っさげての収録により、俄然楽曲の彩りが深くなったのはお聴きの通りである。 

 

アレンジとは楽曲を一変させる恐ろしいものだとは分かっていたが、この場合はアレンジ以前に使用楽器の「音色」によって曲想が大いに様変わりした顕著な例だと思う。

 

音楽は奥深い・・・。

 

※ アルバム『ハード・デイズ・ナイト』フルプレイリスト  

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ビートルズ初主演映画主題曲ア・ハード・デイズ・ナイトの興味深い3つの謎を解く!?

 

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A HARD DAY'S NIGHT

 1964年4月16日収録

 

 Contents

 

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ア・ハード・デイズ・ナイトの謎

 

初期ビートルズきっての大ヒットチューンであり、初主演映画の主題曲でもある「ア・ハード・デイズ・ナイト」はビートルズらしさが満開の素敵な曲だ。

 

ブルーノート(音階の第3音と第7音を半音フラットさせた物悲しくブルージーな音)とダイアトニック(通常のドレミ)をバランス良く組み合わせて、彩りを添え、絶妙にハイセンスなコーラスワークで聞かせる、初期の白眉の曲と言えるだろう。

 

といころで、この名曲には、昔からコアなファンやビートルズ・マニアの間で囁かれる不可思議で謎めいた部分があった。

 

それは・・・

 

  1. 不思議なイントロとアウトロにした訳は?
  2. タイトルは本当に文法的におかしいのか?
  3. 間奏のピアノを1/2速で録音までしてなぜ入れたのか?

 

ファンでもない人には「なんのこっちゃ」「どーでもいい」って話なのだが。(笑)

それでもこのコラムはコアなファンによるコアなファンとこれからのファンのためにあるので、気にせず掘り下げることにする。

 

では、ひとつひとつの詳しい意味合いと、数々の関係者の証言や回想からの「解明」もしくは「推理」を紹介するが、あくまでひとりのコアなファンの個人的な解釈も含まれると思って読んで頂ければ幸いである。

 

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不思議なイントロとアウトロにした訳は?

 

この曲はイントロがあの有名な「ジャーーーーーーン」の、強烈で独特の和音で有名だ。そしてアウトロ、つまりエンディング部分が不思議なアルペジオ(分散和音)が繰り返されてフェードアウトする。

 

このパターンは他では見られないユニークなものであり、それも「ビートルズらしさ」で片付ければそれまでなのだが、この突然変異的なイントロとアウトロの出どころについてだ。

 

実はこのイントロとアウトロは、くだんの主演映画『ハード・デイズ・ナイト(旧邦題:ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ! )』の監督であるリチャード・レスターであった。

 

これはビートルズ担当の音楽プロデューサーであるジョージ・マーティンの証言でわかったことだ。

 

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ジョージ・マーティンとジョン&ポール

 

EMIレコーディング・スタジオで録音をしている時にリチャード・レスター監督がコントロール・ルームに陣取って、やり直せだのああせよこうせなどの無茶な要求を出していたのだ。

 

彼は音楽は畑違いなのであるが、自分が監督する映画の主題歌なので、当然指示する権利があると信じて疑わなかった様子だと言う。

 

ジョージ・マーティンは苦々しく思いつつもそこは百戦錬磨のベテランなので、ほとんどの要求をニコニコと聞くふりしながら実際は無視した。

 

しかしイントロの強烈な和音と、印象的なアウトロの要求だけは聞かざるを得なかったので、ともかくビートルズと相談して半ば即興で作り上げた。

 

なぜ無視できないかと言うと、監督の要求には一理あり、イントロ=1発目の和音は物語の始まりを強烈に告げてゾクゾクさせるという狙いである。

 

アウトロのアルペジオは最初の和音を分散して鳴らし規則的に繰り返してフェードアウトすることで、次なる場面に移行しやすいというのである。

 

至極まともで、見事な演出プランでもあり、結果的には楽曲としてもイントロとアウトロの印象深さは功を奏している。

 

いかなる場合も「持って」いるビートルズなのだ。

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タイトルは本当に文法的におかしいのか?

 

この曲のタイトルの由来でまことしやかに伝えられているのが、リンゴ・スター発言を面白がるジョン・レノンが「それ頂き!」とばかりに使ったと言うものだ。

 

もう少し細かく言うと、従来の説はこうだ。

録音とステージに追われるビートルズの多忙極まるスケジュールの中で、ある時リンゴが「It’s a hard day...」と言いかけて、外を見たらもう夜だったので「's night」と付け足した。

ジョンは「文法的にはおかしいがその表現を気に入って」タイトルにしたということだ。

 

文法的におかしいというのは、「day」は「昼」なので、day's night という言い方は破綻しているということとして伝えられている。過去にこれを聞いて「え?」と思った諸兄も多いと思う。

 

まぁ、それが流布したのは昔の話になるので仕方ないが、「day」は「昼」という意味だけではなく立派に「日」の意味を持っているので、それ自体は文法的に破綻しているとは言い過ぎである。

 

ここからは筆者の推理で申し訳ないが、ジョンが本当に「文法的におかしいが」と言ったのであれば、それは「day」が「昼」だからという事ではない。

 

この部分はきっと勝手に日本人の誰かが解釈した付け足しであり、ジョンが「文法的に」ツッコミを入れたのは、普通なら「a night of a hard day」となるところを所有格の'sで表現したユニークさだろう。

 

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間奏のピアノを1/2速で録音までしてなぜ入れたのか? 

 

この曲の間奏はジョージ・ハリスンの12弦ギターとジョージ・マーティンのピアノがユニゾンで弾いている(とされている)。

 

通説ではこうである。

マーティンがフレーズを弾き切れなかった。そこで(当時はデジタルではなくアナログテープでの録音なので)1/2の速度でテープを回しながら、同じく1/2のテンポでゆっくり、ただし本来の音の1オクターブ低い音で録音したというものだ。

それを通常速度で再生すると違和感がなくなる。

 

そうやってマーティンが弾けるようにした、というもっともらしい理由である。

 

しかしそれを覆した新事実(笑)がレコーディング・エンジニアのジェフ・エメリックの回想で明らかになった。

 

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ジェフ・エメリック

 

ジェフによれば、こうだ。

ジョージはその日の録音で、間奏の短いギター・ソロがどうしても納得いかなかった。だから(前述のように)テープ速度を1/2に落とし、本来弾きたい音の1オクターブ低いフレーズでゆっくりと弾けるようにして録音したと。

 

ただし、その時点でマーティンがユニゾンのフレーズを弾くことになり、ところがテープの空きが1トラックしかなかったので、二人のジョージが一緒に「息を合わせて」「念入り」に録音したとのことだ。

 

さて、さらなる新事実として、YouTubeでこの曲を低速に設定して再生してみると面白いことがわかった。

 

実はジョージはその部分を12弦ギターで弾いていないのだ。嘘だと思われる諸兄は、ぜひYouTubeで低速再生して確認して欲しい。

 

あれは6弦ギターである。おそらくグレッチ・カントリー・ジェントルマンで弾いたのであろう。

 

そうなるといくつも?が浮かぶことになる。

  • ジョージが納得しない
  • 低速で録音
  • 急遽マーティンのピアノをユニゾンで同時に「ぴったり息を合わせて弾き」足す
  • 実際は6弦ギターで弾いている

これらがしっくりとつながらないのだ。

 

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或る物書きの推理

 

ジョージが納得できないのは、買ったばかりのリッケンバッカーの12弦ギターにまだ馴染む前で(後のライブではちゃんと弾けている)弾きにくかったからとすれば、低速にするとして、なぜ6弦ギターで弾いたのか?

慣れている6弦ギターで弾くぐらいならならいくらなんでも、あのフレーズぐらい通常スピードで弾けるであろう。低速にする意味がない。

 

そしてなぜその時点で、急遽ジョージ・マーティンがピアノで、しかもユニゾンで参加したのか?

ここで通説に戻ってマーティンが弾きこなせないから低速で録音というのなら、ジョージのギター・パートはそれこそ低速であれば12弦で弾いてよさそうなものである。

 

普通のスピードで6弦で弾くか、低速で12弦なら理解はできるが、どちらでもないのはなぜだろうか?

 

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リッケンバッカー12弦ギターを弾くジョージ

 

どうでもいいことかも知れないが、謎が謎を呼ぶ流れなのだ。

そして筆者は推理の末にある結論に到達した。上記の4点の疑問をすべてクリアする「解」だ。

 

それは、すべての発端が・・・ジョージが納得できなかったのは弾きこなしてないからではなく、リッケンバッカーの12弦の弱点であるチューニングなのだ。

 

弾いたことがある人はわかると思うが、リッケンバッカーの12弦ギターは一般的な12弦ギターと違って、各複弦がなんと同じブリッジの駒を通るのである。駒が6つしかないのである。現在は駒が12個のオプションモデルあるのだが、当時はなかった。

 

そうなると、そうでなくても弦高が高めのリッケンバッカーなので、開放弦以外の状態でフレーズを弾くと、複弦同士のチューニングが合いにくい。ブリッジの駒では調節不可能なのである。

 

そしてあのフレーズは同じ音で1小節伸ばすところが4箇所出てくる。早いパッセージだけなら気にならないが、1小節伸ばすとさすがにチューニングが狂っているのがわかるのだ。ライブならそこまで気にならないとしても、レコードなのでNGと考えられる。

 

しかしジョージは12弦ギターで始まり12弦ギターで終わるあの曲の間奏も、12弦ギターで通したかった。

そもそもあのアルバム自体、アメリカに行った時にリッケンバッカー社からプレゼントされたあの12弦ギターが、結構印象的な味付けをしているのである。だからジョージは12弦のサウンドで間奏を弾きたかったのだ。

 

そこでジョージ・マーティンが、12弦ギターの複弦の高音部分をジョージが6弦ギターで弾き、12弦ギターの複弦の低音部分をマーティンがピアノで弾くことで、12弦ギターっぽいサウンドが得られるはずと考えた。いわゆるオクターブ・ユニゾンである。

 

しかしそれにはそうとう「ぴったり息を合わせて」弾かないとそう聞こえないと考えて、苦肉の策で低速録音の手法で「念入り」に録音したということだろう。

 

そうでもなければ、あのシンプルなフレーズの間奏ぐらい、ギターもピアノも低速でなくとも二人のプロフェッショナルなら弾きこなすであろう。

 

マーティンが弾きこなせない説は、後の『ラバー・ソウル』アルバムの「イン・マイ・ライフ」でのハープシコードに聞こえるマーティンのピアノソロが、複雑で早いパッセージのために低速で録音した事実があるので、そこから出たのであろう。

「イン・マイ・ライフ」のピアノなら通常スピードで上手く弾きこなせないという話は納得できる。

余談だが、この「イン・マイ・ライフ」では再生時にピアノの残響、つまり余韻も1/2になるので、しかも結果的に高音のフレーズになったので、ピアノなのにハープシコードのようなサウンドになったのだ。

「ア・ハード・デイズ・ナイト」のピアノ部分は低音なので、その効果はなかった。

 

その手法で録音されたあの曲の感想は、見事に12弦ギターの独特なサウンドに聞こえるような仕上がりだ。しかもピアノの存在感もあるので、重厚な間奏になっている。

 

以上の3つ以外にも小ネタ?小謎はある。

なぜサビだけポールがリードに変わるのか?

これはジョン自身が説明しているが、音程が高過ぎてポールの方がうまく歌えるかららしい。

 

つまり、自分が作りリードボーカルを取る曲でも、完成度を上げるためならそういうことジョンはこだわりなく平気でやるのだ。

 

とまぁ、どうでも良いことをマニアックに掘り下げて楽しんでいるコラムに、最後までおつきあい頂き、誠に感謝に堪えない。

 

※ アルバム『ハード・デイズ・ナイト』フルプレイリスト  

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映画好き英語学習者必見!トム・ハンクス&デンゼル・ワシントン名作映画で今話題の英語習得メソッド「英語喉」の核「3ビート理論」を体感し聴き取りスキル向上を図る!

 

アメリカ映画「フィラデルフィア」は「羊たちの沈黙」のジョナサン・デミがメガホンを執った、1993年の素晴らしい映画だ。トム・ハンクスが主演で、もちろん彼の演技は素晴らしいし、アカデミー主演男優賞を取った。

 

一方で助演デンゼル・ワシントンの仕事は、それ自体が主演級とも言える堂々たるものだったと思う。

 

この名作映画にはネイティブ英語のエッセンスを学べる要素が一杯詰まっている。このコラムはYouTubeで視聴可能な部分を使用して、今英語学習界で話題の「英語喉」の重要な部分「スリービート理論」を理解する教材として使って頂くことを意図して書くものである。

 

映画画像

https://movie-bitari.com/philadelphia-a9/

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スリービートとは何ぞや??

スリービートとは通称「英語喉」と呼ばれるメソッドの2つの核のうちのひとつである。もうひとつは「喉発音」だ。

      

このふたつをマスターすれば、英語ネイティブの英語がやすやすと聴き取れ、自身の英語が英語ネイティブにびんびん通じ、外国人と対等にコミュニケーションをとることが出来るのは、「英語喉 50のメソッド」著者上川一秋氏や多くの(私を含む)英語喉実践者たちが証明している。

 

「喉発音」とはひと言でいうと、英語本来の発音の拠点は口ではなく喉でり、日本語は口が拠点なので根本的に違う。逆に言えば、日本人でも喉を拠点に発音すればネイティブと同じおゆに英語が話せるということだ。

 

そして「スリービート」の理論をもっともシンプルに言うと、英語のひとつひとつのシラブル(音節)が基本的に「子音+母音+子音」の3つの音(3ビート)からなるということだ。

 

日本語は「子音+母音」が基本だ。ネイティブが聞くと「タカタカタカ」という風に聞こえて面白いそうだ。筆者のネイティブ友人の多くがそう言っていた。

 

英語はボォンボォンとひとつひとつのシラブルに丸みがある感じだ。母音を2つの子音がサンドイッチしているからだろう。もしくは子音がフタをするとも言える。 

 

スリービートが理解できると、英語が聴き取りやすくなり、また発話するときのリズムの法則性のようなものかが自ずとわかってくる。日本語のシラブル(音節)構造と英語のそれには大きい違いがあり、それを理解すれば聴き取りも、スピーキングも向上するということだ。

 

 詳しいことや練習法は著書『CD付 英語喉 50のメソッド』(上川一秋&ジーナ・ジョージ著)」にすべて書かれてある。誰でも取り組みやすいメソッドだ。筆者は8年前に英語喉の本を読んで、3日目でCNNニュースが聴き取れるようになって、それ以来スカイプで100人を超えるネイティブと知り合い、対話した。

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二人の名優の台詞まわしに臨場感ある英語を学ぶ

 

この映画を英語喉を始める以前に、字幕で観たことはある。ところが英語喉で得た聴き取り力を使って字幕無しで観ると、迫力や臨場感が違う。法廷のシーンがメインだが、静かに熱量が増しつつ手に汗握る展開の映画だ。

 

デンゼル・ワシントンもトム・ハンクスも、喉発音とスリービートを理解するのに格好のお手本である。名場面のいくつかがYouTubeにアップされているので、その中から3クリップを取り上げてプラクティスに使う提案をしたい。

 

映画画像

https://blog.goo.ne.jp/goo0348_2007/e/cf758033a93b5b885bfff11ec54cf941

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ミラー弁護士夫妻のリズミカルな会話 に見る3ビート

さて、最初のクリップは、同性愛に対する強い偏見を持つミラー弁護士(デンゼル・ワシントン)と妻の会話のシーンだ。彼女は旦那とは違って同性愛にも理解があり、さばけた感じの妻の飄々とした対話ぶりがいい。

 

www.youtube.com

 

クリップの後半に出てくる old-fashioned(ディクテーションの赤字部分などは、ツービート読みとスリービートの違いがモロに出ている。口発音と喉発音の違いという風に言い換えてもよいだろう。

 

口発音で「オールドファッションド」と読む時、日本人的にシラブル分割をすると以下のようになる。

 

  オー・ル・ド・ファッ・ション・ド

 

6シラブルになるだろう。

ところが実際英語では以下のようになる。

 

  old・fash・shioned

 

最後のeは音にはならない。よって3シラブルだ。

 

口発音だとは倍かけて発音し、また聴くときも倍ほどのシラブル数で聴き取ろうとするからせわしなくて仕方ない。だから「機関銃」のように早口に聴こえてしまうのだ。

 

これだけシラブル数が違うので、もうリズムが全然別物になるということだ。

 

スリービートに関してのアウトラインをご存知でない人には、下記のブックマーク900超えを果たしはてなブログ週間ランキングTOPを獲得したモンスターコラムが参考になると思う。

www.eigonodogutman.com

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スリービートを意識して発音してみよう

クリップの中の会話の全文は、以下の通り。

 

you have a problem with gays, Joe.

uh, not especially.

yes, you do.

how many gays do you know?

how many d'you know?

hahaha, lots!

like who?

karen berman, my aunt theresa, cousin tommy who lives in rochester, eddie meyers from the office, uhmm, stanley, the guy who's putting in our kitchen cabinets.

aunt theresa is gay? that beautiful, sensuous, voluptuous woman is a lesbian? since when?

probably since she was born.

oh, man. uh, well, hey, i admit it, okay? I'm prejudiced. i don't like homosexuals. there, you got me.

all right.

i mean, the way these guys do that, thing, don't they get confused? oh, i don't know. is that yours? is that mine? hahahaha, you know, i don't want to be in bed with anybody who's stronger than me, or who has more hair on their chest. now, you can call me old-fashioned, you can call me conservative. just call me a man. umm, besides, i think you have to be a man to understand how, really disgusting that whole idea is anyway.

 

繰り返すが、スリービートを感じなければ、つまり、ツービート=カタカナのようなシラブルの感じ方をすると、早過ぎて何を発音しているかわからないだろう。すべてのシラブル数の2倍から3倍で感じようとするからだ。

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3ビートと2ビートの根本的な違いを知ろう

子音+母音+子音でワンセットになることを理解し、ボォンボォンというリズムを感じれば音は自然に入ってくる。どんどん隣のシラブルと音が繋がっていくが、ちゃんとそれが別々の音だということも自然とわかるのである。

 

ちなみに日本語は子音+母音のツービートだ。ネイティブがよく表現している「タカタカタカタカ」というサウンド感であり、英語の「ボォンボォン」とは良し悪しではなく異質だ。

 

 

さて続いてのクリップも法廷シーンで、トム・ハンクスの非常に味わい深い演技だ。ミラー弁護士の質問に答えて、法律のどういうところを愛しているかをしみじみ答える。

 

静かな中にとても生き生きとした・・・死相を湛える表情との対比が素晴らしい演技だ。

 

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名優たちの優れた演技力

余談だが、こういうのを観るとトム・ハンクスは本当に上手い役者だなと感銘を受ける。そして相手役の、デンゼル・ワシントンの表情の演技も素晴らしい。

 

また、アンドリュー弁護士を不当解雇した敵側のベテラン俳優達も、アンドリューの言葉に「良心の呵責」をちらりと感じる無言の演技・・・・・これもなかなか渋い。

 

それはさておき、これらの映像を観ても分かるように、ネイティブが喋るときに、口の大きい動きはない。

 

V音にせよTH音にせよさりげなく発音されている。唇や舌をとりたてて噛む感じがないのが分かるだろう。

 

実際に、歯が下唇や舌に一瞬触れているだけだが、その一瞬に英語喉メソッドでいう「ブルブル凧」(詳細は書籍『英語喉50のメソッド』を参照)というブルブル震わせる動作がなされて初めて、VやTHの弁別的要素が確定するのだ。 

 

クリップ中の会話全文は、以下の通りだ。

 

all right. then, are you a good lawyer, Andrew?

i'm an excellent lawyer.

what makes you an excellent lawyer?

i love the law. i know the law. i excel at practicing.

what do you love about the law, Andrew?

i, many things. uh, what i love the most about the law?

yes.

is that every now and again, not often, but occasionally, you get to be a part of justice being done. that really is quite a thrill when that happens.

thank you, Andrew.

 

トム・ハンクスもデンゼル・ワシントンも、変に芝居がかった大げさな喋り方ではなく、非常にリアルな喋り方なので、とても参考になると思う。

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ミラー弁護士の迫真の弁明

最後に映画の中で最も印象に残ったシーンを紹介しよう。

 

トム・ハンムスが演じるベケット弁護士を不当に解雇した側の証人に対する尋問中に、激昂したワシントン演ずるところのミラー弁護士を裁判長が近くに呼び寄せた後のシーンだ。

 

裁判長はミラー弁護士に真意を尋ね、それに彼が長いモノローグで答える。

 

説得力のあるプレゼンテーションのような、力強く、かといって勢いだけではないと抑揚をつけた弁明を展開するのだ。

 

ミラー弁護士は、その裁判の本質を雇用問題ではなく「ゲイ」と「エイズ」への差別だと喝破する、まさにストーリーの転換点と言える、ある種感動的な弁明だと言えるだろう。燻し銀のように渋い、彼のセリフ回しに魅せられた。

 

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デンゼル・ワシントンのリズム感こそ3ビート

ミラー弁護士の弁明部分(0:35~1:40 )のディクテーション(聴き取りの書き起こし)は以下の通り。

 

your honor.

everybody in this courtroom is thinking about sexual orientation. You know, sexual preference.

 

whatever you want to call it, who does what to whom and how they do it.

they're looking at Andrew Beckett. They're thinking about it.

 

they're looking at Mr.Wheeler, Miss Conine, even you, your honor.

they're wondering about it. (laughing) trust me, i know they're looking at me and thinking about it.

 

so let's get it out in the open. let's get it out of the closet.

because this case is not just about AIDS, is it?

so let's talk about what this case is really all about....

 

the general public's hatred, our loathing...our fear of homosexuals...and how that climate of hatred and fear...translated into the firing of this particular homosexual...my client, Andrew Beckett.

 

尚、少し違う角度からのスリービートへのアプローチとして、音楽をモチーフにしたものを下記コラムで詳述してある。

www.eigonodogutman.com

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閑話休題(箸休め)

主題歌を担当したブルース・スプリングスティーンは歌曲賞に輝いた。なおかつ、グラミー賞の最優秀楽曲賞も受賞した。 

 

 

 

彼の「ストリート・オブ・フィラデルフィア」が、早朝のフィラデルフィアの街の風情を描くオープニングで流れる。

 

溢れる熱量を強く抑えて歌う彼の重く切なく、しわがれて淡々とした歌声には、そこから展開される、僅かな希望を信じて闘う孤独な心情と友情が織込められている。

 

英語ネイティブ発音の核は喉発音とスリービート

 

ともあれ、スリービートを感じた瞬間から、面白いほど英語が耳に入ってくる驚きを、ぜひ多くの人に体感してもらいたいと願っている。英語喉でやれば、日本人でもネイティブ発音ができるのだから。

 

 

副読本「機関銃英語が聴き取れる」はスリービートにフォーカスして読みやすい。こちらだけでも聴き取りが向上したという体験が多い。

 

 

 

第3の副読本として、物語を楽しみながら「英語喉」が理解できる筆者MASAのKindle版英語喉小説『喉の旅 上: 英語喉メソッド誕生秘話 (或る物書きのジャズな文庫)  』も参考になるだろう。 

 

このブログのカテゴリーの中のABOUT EIGONODOで色々と英語喉のことを書いているので、参考にして頂ければ幸いだ。

 

 

トム・ハンクスの名作映画『フォレスト・ガンプ』は英語喉3ビート最強見本

 

トム・ハンクスの出世作であり、公開当時様々な項目で話題になった「フォレスト・ガンプ」は英語喉的には最高のサンプルである。この映画は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で一躍有名になったロバート・ゼメキス監督の作品だ。

  

ガンプ画像

https://entertainment-bridge.com/forrest-gump/

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~トム・ハンクスが再現する南部訛りは英語発話のお手本~

 

 

主人公である、知能は劣るが純粋でエネルギッシュな「うすのろフォレスト」を通して50~80年代の古き良き(賛否はあるが)アメリカを描いている。

 

ケネディ大統領やジョン・レノンとテレビ映像で語り合っているような場面も当時のテクノロジーで表現されていて、注目を浴びた。


ストーリーや背景ももちろん面白いが、とても興味深いのがフォレストを含む登場人物の強烈な「南部訛り」だ。アラバマ州ということでいわゆる「ディープサウス」のクセの強い訛りが丸出しである。 

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南部訛りに顕著なシラブルのスリービート

 

南部訛りと言えば70年代のサザンロック、オールマンブラザーズやレーナードスキナードの、ああいう感じの粘っこい歌い方は結構好きだった。

 

余談だが、リドリー・スコットの名作「ブラックレイン」はそのキャストの濃厚さもさることながら、マイケル・ダグラスが夕焼けに染まりながらオートバイで疾走するタイトルバックに流れるグレッグ・オールマンのバラード “I'll Be Holding On” は最高にイカしていた。

 

いつまでたっても洗練されず、南部訛りのグレッグのヴォーカルが、映画本編の男の業や友情や別離などのさまざまなものを見事に表現している。

 

さて、英語喉方面からも見てみよう。

 

この南部訛りだが、深い喉発音はもちろんのこと、シラブルの「スリービート」が「物凄く」よくわかる。

 

「スリービート」は「喉発音」と併せて「英語喉メソッド」の根幹である。

 

極めてシンプルに説明すると、「喉発音」は日本語が「口発音」=口の中で音響かせるのに対し、英語ネイティブは「喉発音」=喉で音を響かせるのだ。

彼らの喋るサウンドが明らかに違う理由であり、実は日本人でもそれと同じことができるのである。

 

ただし、喉発音は体得するまでの期間は個人差がある。しかし、スリービート理論は、素直な姿勢で臨めば、ほぼすぐに理解できるので、分厚い「50のメソッド」に気後れする人には、先に「機関銃英語」から入っても良いかも知れない。

※スリービート理解の参考に

 

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ネイティブスピーカーのリズミカルな発話の秘密

 

「スリービート」は英語ネイティブの発話するシラブル(音節)はすべて子音+母音+子音でワンセットになると言うことだ。

 

3つの音で構成されるので、日本語の子音+母音というツービートとは根本的に違う。彼らの喋る英語の軽快なリズムはそこから生まれるのだ。

 

例えばCOPYはCO/PYではない。COP/PYとなるのだ。

 

TENNISなら元々のスペル通りでTEN/NISだから解りやすいが、COPYも同じで母音は隣の子音と引っ付くのである。実は喉発音でやれば、自然に引っ付く。口発音ではそうならない。

 

なにせSRIPNGはたったの1シラブルで発音されるのだ。日本人的にはシラブル感が全く違うので、聴き取りにくいし日本人の英語が伝わりにくいのである。詳しくは下記コラムを参考にして頂きたい。

 ※筆者最多ブックマーク:はてブ週間ランキングTOP獲得の人気コラム

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英語喉メソッドは英語ネイティブがやるやり方そのものをやろうというアプローチであり、「英語喉50のメソッド」に全ての音声現象が説明されている。何度も言うが、このメソッドでやれば、日本人でもネイティブと同じ発音ができるのである。

 

 

スリービートにフォーカスした副読本「機関銃英語が聴き取れる」も解りやすいと好評である。

 

 

 

 

以下のYoutubeで観られる予告編は、映画の中の味わい深いワンシーンだ。回想するフォレストは物凄いスリービートで喋り、弾みまくっている。

 

ディクテーション(聴き取って書き起こすこと)をしてみたので、音声と比べることで、スリービートのリズムのなんたるかが解ると思う。

 

極端ではあるが、日本人としては今までスリービートに馴染んでいなかったので、英語のリズムを象徴していると考えてお手本にすればよいのではないだろうか。和訳の字幕が入っているのが残念だが我慢して頂きたい。

 

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書き下し文


フォレスト:hello. my name's Forrest, Forrest Gump. you want a chocolate?

i could eat about a million and a half of these.

my momma always said, life was like a box of chocolates.

you never know what you're going to get.

those must be comfortable shoes.

i'll bet you could walk all day in shoes like that and not feel a thing.

i wish i had shoes like that.

 

黒人看護師:my feet hurt.


フォレスト:momma always says there's an awful lot you could tell about a person by their shoes. where they're going. where they've been.

i've worn lots of shoes. i bet if i think about it real hard i could remember my first pair of shoes.

 

どうだろう、スリービートが感じられただろうか?

映画の中でフォレストは、口を開けっ放しで唄うようにボォンボォンと喋るので、シラブルが捉えやすい。しっかり三つのビートが感じられる。

 

しかしだ。トム・ハンクス自身はカリフォルニア州出身なのだ。上手に南部訛りを真似ている・・・・というか、やはり喉発音の人は、口発音の人よりモノマネが上手いのだろう。

 

トム・ハンクスを担当する声優の山寺宏一氏など、本業でもないのに物真似が異常に上手い。彼は完璧な喉発音だ。


ともあれ英語喉実践者が「フォレスト・ガンプ」を観れば、3ビート理論と喉発音にさらなる確信をもたらすことだろう。

 

英語喉による聴き取りのおかげで、過去に観た洋画が新しい感動を伴って楽しめる。人生の美味しい部分のいくつかを、二度も体験できるようなものである。

 

 

 

 

クリント・イーストウッド『グラン・トリノ』本場の英語3ビート堪能!

 

クリント・イーストウッドの監督・主演による「グラン・トリノ」は惻隠(そくいん)の情を描くハードボイルドであり、人種差別の不毛さを訴える燻し銀の人間ドラマであり、ハートウォーミングで最後の最後まであっと驚かされるエンターテインメント作品だ。

 

クリント画像

https://mainichi.jp/premier/business/articles/20170711/biz/00m/010/001000c

多くの人々が絶賛する「グラン・トリノ」は、クリント・イーストウッド演じる頑固一徹のポーランド系アメリカ人コワルスキーと、中国のモン族のタオとスーという姉弟との奇妙な友情が生む、ハードボイルド人間ドラマだ。

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〜熱量あるドラマでネイティブの3ビート理解も深まる〜

 

 

この映画は正直お固い方々にはお薦めし難いぐらい、差別的な言葉やスラング、罵詈雑言が盛りだくさんの映画であり、主人公やその周辺人物の口の悪さと言ったら相当なものだ。

 

それでも、そこにはソフィスティケイトされていない本来の「生のアメリカ」があり、クリント・イーストウッドの狙いは差別を助長するのとは真逆の、差別が如何に馬鹿げたものであるか、如何に人間たちの共存という根本から見て無意味なことであるかを伝えたいのだと感じる。

 

さて英語喉的には、登場人物の喋りがかなりリアルで、エモーショナルな部分も含め、全編を通してスリービートがびんびん感じられる最高の教材だ。 

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スリービートは簡単に言うと、日本語とのシラブル(音節)の取り方の大きな違いだ。

 

テニスは日本語のカタカナ英語では te・ni・su の3シラブル

英語では ten・nis の2シラブル

 

語感的には日本語の「タカタカタカ」というのに対して「ボォンボォン」という感じだ。

 

また、日本語の 子音+母音 という基本形に対して

英語は 子音+母音+子音 が基本形だ。母音を子音でサンドイッチしている。だからスリービートなのだ。中抜き三連符のようなものである。

 

tennisならスペル自体もそうなっていてわかりやすいが、スペルがそうなっていなくても同じである。

caravanなら car・rav・van  という具合に隣の子音を半分借りてくるのだ。というか、喉発音でやると、勝手に隣の子音と繋がるので、意識する必要がないのだ。

 

典型的な例はアーティストBruce Springsteenの名前をシラブルで区切ってみればよい。日本人的感覚でいくと、ブ・ルー・ス・ス・プ・リン・グ・ス・ティーン、と9シラブルになる。


ネイティブは違う。

Bruce・Spring・steen

たった3シラブルで読んでしまう。日本人は実にその3倍ものシラブル数で発音し、なおかつ聴いているので、英語をせわしないと感じる。

 

詳しくは「英語喉 50のメソッド」に全て書かれてある。アウトラインはこのブログの中の下記の記事で掴めるかと思う。

~最多ブックマークの人気コラム~

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さて、それではスリービートたっぷりの「グラン・トリノ」の中から、YouTubeで視聴できる名場面を3つピックアップしてディクテーションをしてみた。 

 

動画を観て、また書き下し(文字起こし)文を読んで、ああこの単語のつながり、こう言う文章は、ネイティブはこんなリズムで喋るのか、という風に参考にしてもらえれば幸いだ。

 

まずは、コワルスキーがタオを知り合いのイタリア系の口の悪い店主がいる床屋、つまり散髪屋に連れて行き、大人の男の振る舞いをレクチャーする場面だ。

 

口が悪すぎる大人二人が、言葉に反して若いタオに向ける湿っぽくない優しさがとても心地よい。

 

ちなみに、男前を上げるためにまずは床屋に連れて行くのは、マフィア映画の定番なのでそのパロディか?

  

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書き下し文 

you okay? you are ready?
sure.
let's go in.
perfect. a pollack and a chink.
how are you doing, Martin,
you crazy Italian prick.
walt, you cheap bastard, I should have known youd come in,
I was having such a pleasant day
what did you do?
jew some poor blind guy out of his money.
giving him a wrong change?
who's the nip?
he is a pussy kid from next door.
i am just trying to man him up a little bit.
you see kid?
that's how guys talk to one another .
they do?

do you have shit in your ears?
now go out and come back in and talk to him like a man.
like a real man.
come on. get your ass out of here.
come on back now. sorry about this.
that's ok.
what's up you old Italian prick?
get out of my shop before I blow your head off you goddamn dick smoker.
Jesus Christ.
shit.
take it easy. what the hell are you doing? have you lost your mind?
that's what you said.
that what you said men say.
you don't just come in and insult a man in his own shop.

what happens if you meet some stranger? If you get the wrong one he's gonna blow you
gook head right off.
what should I've said then?
why don't you start with hi or hello.
yeah just come in and say sir, I'd like a haircut if you have a time.
yeah, be polite but don't kiss ass.
in fact you can talk about the construction job you just came from.
and bitch about your girl friend in your car.
son of a bitch, I've just got breaks fixed
and those sons of the bitches really nailed me. they screwed right in the ass.
yeah, don't swear at the guy. Just talk about people who are not
in the room.
you can bitch about your boss making you work overtime
when it is bowling night.
right, my old lady bitches for two goddamn hours about how..
they don't take expired coupons at the grocery store.
and the minute I turn on a fucking game she starts crying we never talk.
see now go out, come back and talk to him.
and it ain't a rocket science for Christ sake.

yeah, but I don't have a job, a car, or a girlfriend.
Jesus, I should have blown his head off when I had a chance.
maybe so, I want you to turn around and go outside
and come back and don't talk about having no job,
no car, no girlfriend, no future, no dick. OK, just turn around and go.
excuse me sir, i need a hair cut if you ain't too busy.
you old italian son of a bitch prick barber.
boy, does my ass hurt from all the guys at my construction job.
fuck me. 

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次にスーが黒人の不良たちに囲まれ、いたぶられているところに遭遇したコワルスキーが、迫力ある懲らしめ方を披露する場面だ。

 

書き下し文 

what the fuck are you looking at old man?
what the hell are you spooks up to?
spooks?
you'd better get your ass on honkey, while i still let you.
that's you'd better do.
what the fuck he thinks he is?
have you noticed how you come across somebody once in a while ...
you shouldn't fucking with?
that's me.
you are fucking crazy, get out of here, man.
why don't you get your ass out of here before we kicked your wrinkly white ass.
what's wrong with him man?
the motherfucker's crazy.
what is this thing? what the hell?
get in a truck.
crazy motherfucker.
what's wrong with him, man.
hey pops come on now.
shut your fucking face.
you don't fucking listen, do you?
now get in a truck.
go get in a truck girl.
let her go, old man!
shut up pussy.

what is this 'bro' shit anyway?
you want to be superb page, or something
these guy don't want to be your bro and I don't blame them.
now get your old faint paddy ass on down the road.
take care now.
you too.
oh, yeah.

 

最後に、終盤に差し掛かり、ある決意を秘めたコワルスキーがそれを実行する前に、教会で青年牧師に懺悔をする場面だ。

  

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書き下し文 

what can i do for you, Mr. Kowalski?
i am here for a confession.
lord Jesus, what have you done?
nothing you just take it easy now.
what are you up to?
are you gonna give a confession or not?
how long has it been since your last confession?
forever.
bless me father, for I have sinned.
what are your sins, my son?
In 1968, i kissed Betty Jablonski
at the factory Christmas party.
Dorothy was in the other room with the other wives.
it just happened.
yes, go on.
well, i made 900 dollars profit selling a boat and motor.
i didn't pay the taxes it is the same as stealing.
yes, fine.
lastly...
i was never very close with my two sons.
i don't know them. I didn't know how.
that's it?
that's it.
it's bothered me most of my life.
say 10 Hail Maries and 5 Our fathers.
God loves and forgives you and absolves you of all your sins.
in the name of the Father, son and the holy spirit.
thank you padre.
are you going to retaliate for what happened to Sue.
im going over to that house today, Mr. Kowalski.
is that so?
it is.
and every other day until you see the folly of what you are planning.
busy day, got to go.
go in peace.
oh i am at peace.
Jesus Christ.

 

ここで紹介したのは一部だが、作品そのものを観る価値があるとお薦めしたい。

 

日本でいう喜寿の頃のクリント・イーストウッドの渋過ぎる演技とともに、周辺人物の味わい深い脇役ぶり、意表をつく終盤のストーリー展開、そしてスリービートに乗った英語を堪能できる映画であることは間違いない。 

 

 

  

 

『ショーシャンクの空に』でモーガン・フリーマンが表現した諦観と希望

 

1994年のアメリカ映画『ショーシャンクの空に』はスティーブン・キングの中編小説『刑務所のリタ・ヘイワース』を映画化したものだ。オスカー受賞こそ逃したが7部門にノミネートされ、世界的なヒットムービーとなった。日本でもこの映画のファンは多いようだ。

 

~名優モーガン・フリーマンの英語をディクテーション~

  

筆者はキングの原作を映画化される10年前に読み、これぞ小説だと感銘したものだった。そして映画化されたものも、素晴らしい出来栄えであったことは論を待たない。壮大で爽快で感動する冒険譚として仕上がっていた。 

 

余談だが、小説の原題 "Rita Hayworth and Shawshank Redemption"(邦題:刑務所のリタ・ヘイワース)はとても素敵なタイトルの付け方であり、映画版も当初は原題通りを想定していたのに、直前で変わったらしい。

 

リタ・ヘイワースとは1940年代のアメリカで、セックスシンボルとして名を馳せた女優だ。その女優リタ・ヘイワースの伝記映画と誤解されかねないという声が多く、やむなくタイトルを変えたらしいので、それは仕方のないことだ。

 

なぜリタ・ヘイワースの名が出てくるかと言えば・・・

 

主人公アンディの親友、モーガン・フリーマン演ずるところのレッドは、刑務所の外からどんなものでも調達できる人脈を持ち、刑務所の中で商売をしているという設定だった。

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アンディと親しくなったレッドは、ある日彼から「等身大のリタ・ヘイワースのポスター」を手に入れることはできないかと頼まれる。そんなのお安い御用だと、レッドはアンディにリタヘイワースの大きなポスターを取り寄せてあげた。  

 

そこからが、どうして『刑務所のリタ・ヘイワース』が素敵なタイトルかということにつながる展開になるのだが、映画を観ていない人や小説を読んでいない人に対してネタばれになるので、これ以上は書けない。

  

さて、映画本編中の名シーンのひとつが助演、というより主演を食うほどの素晴らしい演技を見せてくれた名優モーガン・フリーマンの終盤の、仮釈放のための面接シーンだ。渋くて味わいある場面だった。

 

以前、その場面を切り取ったYouTube動画を見つけたのでディクテーション(聴き取って書く下すこと)をしてみた。

 

www.youtube.com

 
ともかく聴き取ったままを書いてみたのが以下の通りだ。

 

please sit down.

now let's boyd redding. your file says you served fourty years of a life sentence. you feel you've been rehabilitated?


rehabilitated?

well now let me see ummmm... you know i don't have any idea what that means.

well it means you're ready to rejoin society....


i know what you think it means, sorry. to me, it's just a made-up word a polotician's word, sorry.

young fellas like yourself can wear a suit and a tie... and have a job. what do you really want to know? am i sorry for what i did?

 

well, are you?

it's not a day goes by i don't feel regret. and not because i'm in here or because you think i should.

 

i look back on the way i was then...  a young, stupid kid commited a terrible crime.  i want to talk to him. i want to try to talk sense to him, tell him the way things are.

 

but i can't. that kid's long gone, this old man is all that's left, and i've got to live with that. rehabilitated? it's a bullshit word.

 

so you go on and stamp that form, sonny, and stop wasting my time. because i tell you truth... i don't give a shit.

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モーガン・フリーマンの英語も、英語喉的に言う「スリービート」がわかりやすいリズミカルな発話だ。

 

スリービート理論は極めてシンプルに言うと、ネイティブの発音はすべて・・・

 

子音+母音+子音 

 

常にこのパターンで、一つの母音を両側の子音がサンドイッチにして三つの音でワンセット、ワンシラブルを形成しているということだ。

 

音楽の面から補足すると、ひとつのオタマジャクシ=音符は一つのシラブルに対応している。これはビートルズの曲などを例にとると非常に分かりやすい。なぜなら、特に初期はワンシラブルの単語ばかりで歌詞が作られているからだ。

 

ともあれ、詳しくは上川一秋&ジーナ・ジョージ共著『CD付 英語喉 50のメソッド』や副読本『機関銃英語が聴き取れる!-リスニングの鍵はシラブルとビート』のどちらでも、詳細な説明がなされている。

 

     

本ブログ内の下記コラムでも、スリービートの概略を伝えている。

~最多ブックマークの人気コラム~

尚、筆者の英語喉小説『喉の旅 上: 英語喉メソッド誕生秘話 (或る物書きのジャズな文庫) 』の中でもストーリーの中で分かりやすい説明を試みている。

 

 

音声学や発音記号を理解していても、その人が喉で響かせない限り、どこまで行っても本当にネイティブの英語のような発音にはならない。

 

逆に言えば「喉発音」「スリービート」の二要素を抑えればもう9割がた英語喉をマスターしたようなものなのだ。ネイティブにがんがん通じる発話ができる。

 

さて、モーガン・フリーマンによる、映画のエンディング部分のナレーション(モノローグ)が大変味わい深いので、実は自分の発音練習用にファイル化したものがある。

 

audioboo.fm

 

そのモノローグをディクテーションして書き下した一文、美しい散文詩のようなその一節を以て、このコラムを締めくくることにする。

 

i find I'm so excited I can barely sit still or hold a thought in my head.

i think it's the excitement only a free man can feel. 

a free man at the start of a long journey, whose conclusion is uncertain.

 

i hope I can make it across the border. 

i hope to see my friend and shake his hand. 

i hope the pacific is as blue as it has been in my dreams.

 

i hope.....

 

  

アンジェリーナ・ジョリーの女優魂炸裂!スリリングな映画『SALT』

 

2010年のアメリカ映画 『SALT/ソルト』は、アンジーが演ずるところの「二重スパイ」の嫌疑を掛けられるCIAエージェント、コードネーム「ソルト」の華麗にも激しいサバイバルを描くスパイアクション映画である。

 

ソルト画像

http://fragile.mdma.boo.jp/?eid=1065316

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英語喉で得た聴き取り力でもって字幕無し、つまりネイティブと同じ条件で映画を楽しむのは、ともかくあらゆる意味で字幕付きで観るのとは全然違う。

 

アンジーことアンジェリーナ・ジョリー主演の傑作スパイムービーである「ソルト」を原語で観た感想を紹介させて頂く。

 

 

 

 

いやはや、いつもながらアンジーの「体当たりの演技」・・・彼女の女優魂には脱帽せざるを得ない。

 

この映画に関して賛否様々な批評があるが、筆者としてはとても面白かった。確かにアクションはオーバークオリティで、ジャッキー・チェンどころかルパン三世並みの現実離れしたところもあるが、それも判ったうえで充分見応えがあった。

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英語喉的に感銘を受けたのは、ソルトと夫の会話の回想シーンだ。

 

某国で捕えられ、ボコボコにされるもなんとか解放されたソルトが、自分には未来は無いと自暴自棄になる。ところが彼女の最愛の夫は無表情、つまりポーカーフェイスでこう言うのだ。

 

I want to live with you... for the rest of my life...

 

要するに「残りの人生を君とともに生きたい」ということだが、こういう台詞自体は使い古されて手垢がついている類なのかも知れない。

 

しかも、淡々とした無表情なので、適当に言っているのかとも見られかねない。

 

しかしまったくそうではなく、むしろぐっとくる場面となっており、また後になって判明するが、この場面の意味するものが物語の中で重要性を帯びてくることになる。

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このポーカーフェイスは「慈愛に満ちたポーカーフェイス」としか言いようがない絶妙なものだった。極めて無表情で非常に濃厚な発言をするのである

 

英語喉で初めて知る「ポーカーフェイスによる真摯なる発言」だった。そういうネイティブのニュアンスないしフィーリングは、おそらくそれまでも字幕や吹替で目の当たりにしてきたのだろうが、その深さにには気づかなかったのだという衝撃を感じた。

 

調子に乗って全部喋ってしまいそうなので、これぐらいにしておかないといけない。

 

ともかく、もしも・・・あの台詞の内容を字幕で追いつつ、彼のポーカーフェイスを見ていたら、まずあのぐっとくる感じは味わえないだろう。

 

なぜなら顔はポーカーフェイスなのに、声には愛が籠っているからだ。勿論それは演技だけれど、非常にリアルなのだ。

 

おそらく字幕で見たら、その台詞が薄っぺらく、あるいはウソ臭く思えたかも知れない。重要な箇所だけに、そういう風に響くと残念なことだ。

 

英語喉的には他にも数か所、これも字幕に頼らない鑑賞ならではの素敵な場面がある。

 

ストーリーそのものも、国家の事情がからんで壮大な展開になる。そしてクライマックスも小気味良い。機会あればぜひ「字幕無し」で観て頂きたいものだ。

 

 

 

 

『ボヘミアンラプソディ』オスカー受賞スピーチで英語喉を体感!

  

映画「ボヘミアン・ラプソディ」の主人公でペルシャ系移民という出自を持つ主人公フレディ・マーキュリーを演じたラミ・マレックは、エジプト系の移民を両親に持つアメリカ第一世代だ。

 

その来し方の人生の元手をフレディの生き様に重ね合わせて演じきり、自身はアカデミー賞作主演男優賞、作品としては編集賞、録音賞、音響編集賞の合計4冠に輝いた。

 

 ラミ・マレックの魂の声は喉から出でて人々の心に刺さった

 

この大ヒット映画「ボヘミアン・ラプソディ」の内容や世間的評価については、今更何かを言うまでもないと思う。

 

フレディ・マーキュリー役のラミ・マレック、ロジャー・テイラー役のベン・ハーディ、ブライアン・メイ役のグウィリム・リー、ジョン・ディーコン役のジョゼフ・マゼロというキャストはほぼ完璧だったのではないだろうか。

 

ギタリスト(アマチュアだが)でもある私は、とりわけブライアン・メイを演じ切ったグウィリム・リーが、最後まで本人が演じているのではと思えるほどのシンクロぶりに感服した。

 

さて、アカデミー賞の授賞式でのラミのスピーチに感動した人も多いようで、実際とてもハートフルなスピーチだったので、これを題材にディクテーション(聴き取って文字に起こす作業)をしてみた。

 

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このスピーチは感動的なだけではなく「スリービート」を理解するのにも向いているので、ここで取り上げようと思う。スリービートとは通称「英語喉」と呼ばれるメソッドの2つの核のうちのひとつである。もうひとつは「喉発音」だ。

      

このふたつをマスターすれば、英語ネイティブの英語がやすやすと聴き取れ、自身の英語が英語ネイティブにびんびん通じ、外国人と対等にコミュニケーションをとることが出来るのは、「英語喉 50のメソッド」著者上川一秋市や多くの(私を含む)英語喉実践者たちが証明している。

 

詳しいことや練習法は著書「英語喉 50のメソッド」にすべて書かれてある。それ以外特に要らないので、誰でも取り組みやすいメソッドだ。私は8年前に英語喉の本を読んで、3日目でCNNニュースが聴き取れるようになった。

 

メソッドのアウトラインを説明すると、まず「スリービート理論」は、日本語のシラブル(音節)構造と英語のそれには大きい違いがあり、それを理解すれば聴き取りも、スピーキングも向上するということだ。

 

スリービートに関しては以前書いた、超バズったコラムを参照願いたい。

 

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「スリービート」を理解し、そこに「喉発音」が加われば完璧である。

 

「喉発音」は一般的な日本人の英語が「口発音」であり英語ネイティブが「喉発音」であることを直視することから始まる。

 

彼らが体格が良いから声が太くてよく響くのではない。それが証拠に、日系や中国系のネイティブスピーカーの声を聞けば、白人および黒人の英語の響きと変わらないことは明白だ。 

 

そして外見は日本人と全く同じでも、英語の響きにおいては日本人とは全然違うこともまた明白である。ともあれ、今回のコラムでは「スリービート」にフォーカスしよう。

     

日本語の構造が 子音+母音 でひとつのシラブルを構成するのに対し、

英語では 子音+母音+子音 になる。

 

必ず母音が響いた後は子音がフタをする。

3つの音でひとつのシラブルを形成するからスリービートなのだ。日本語はツービートである。語感のイメージは「タカタカタカ」つまり ta/ka/ta/ka/ta/ka だ。

 

英語なら tak/kat/tak/kat/tak/kat  になる。

無理やりカタカナで表現すると「タッカッタッカッタッカッ」の様な感じだが、実際は小さい「ッ」などなく、kやtの前半分がその前の母音にひっつくのである。(何も難しくなく、喉でやれば自然に繋がるのだが・・・

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ともあれ、英語ネイティブの言葉のリズムが日本人の英語のリズムと違うと感じている人は多いはずだ、その違いはシラブルの解釈の違いに起因する。

 

 

筆者がよく例に使うのはアーティスト名「ブルース・スプリングスティーン」だ。

日本人的なシラブル分割はブ・ルー・ス・ス・プ・リン・グ・ス・ティーンで9シラブル。

 

英語ネイティブなら、Bruce/Spring/steen のたった3シラブルだ。3倍もの数のシラブルで発音したり、ネイティブの発音するそれを3倍のシラブルで聴こうとしたりするから、せわしなくて伝わらない、聴き取れないとなるのである。

 

逆に言えば「スリービート」を感じることができれば、それだけでも聴き取りスキルを向上させることが出来る。

 

その辺りは下記コラムに詳しい。

 

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では今回のラミ・マレックの感動的スピーチを聴き取って書き下した文の中で、(実はすべての言葉がスリービートだが)わかりやすいものをスリービートの見本として字の色を赤に変えて示しておく。

書き下し文

oh i...i...oh my god. uh, my mom is in here somewhere.

oh, I love you, I love you, lady.

my family, thank you for all of this.

you know my dad didn’t get to see me do any of this, he’s not… but I think he’s looking down on me right now.

this is a monumental moment, one I’m so appreciative to all of you, to everyone who has had a hand in getting me here. to the Academy.

to people who took a chance on me every step of the way, Graham King, Denis O’Sullivan, everyone at Fox and New Regency, thank you guys so much.

i may not have been the obvious choice, but i guess it worked out.

thank you, Queen. thank you guys for being, for allowing me to be the tiniest part of your phenomenal, extraordinary legacy.

i am forever in your debt. my crew and my cast, i love you.

you are my equals, you are my betters.

i could have never been here without you, umm.

i think about, i think about what it would have been like to tell little bubba Rami that one day this might happen to him, and i think his curly haired little mind would be blown, uh...

that kid was, he was struggling with his identity, trying to figure himself out.

and i think to anyone struggling with theirs and trying to discover their voice, listen we made a film about a gay man, an immigrant, who, uh, lived his life just unapologetically himself.

and the fact that I’m celebrating him and this story with you tonight is proof that we’re longing for stories like this.

i am the son of immigrants from Egypt. 

i’m a first generation American and part of my story is being written right now and i could not be more grateful to each and every one of you, and, and everyone who believed in me for this moment.

it is something i will treasure for the rest of my life. Lucy Boynton, you’re the heart of this film, you are beyond immensely talented, you have captured my heart.

thank you so much.

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それではシラブル理解のための、文章の部分的な抜粋を解説しよう。 

my mom is in here somewhere

シラブル分割は mom/mis/sin/her(e)/som/wher(e)

リズム良く、シラブルごとにちゃんと子音を読むのが大事だ。リズムに乗せて繋げる感じだ。hereやwhereの最後尾のeは読まない。

to the Academy

シラブル分割は toth/they/yac/cad/dem/my

このようにTHE+母音の場合は、喉でやるとTHEの後に自然にY音が生まれ、次の母音と繋がる。これはO音やU音の後に母音で始まる言葉が来た時に間に入る「スーパーソフトW」と同じメカニズムだ。詳しくは『英語喉 50のメソッド』に書かれている。

 

しっかりシラブルごとに子音で包んで読むと、英語らしい感じが出る。ちなみに最後のmyのY音はTHEの後に出るY音と同じだ。口発音では出ない音だ。

extraordinary legacy

シラブル分割は extr/raord/din/nar/ry/leg/gac/cy

最初の extr のxtrは全部子音だ。これが口発音だとせわしないが、喉発音なら簡単である。

長いがシラブルを大事に読みつつ、ひとつの単語のように繋げて読むのがポイント。

trying to figure himself out

シラブル分割は try/ying/tof/fig/gur(e)/him/self/fout

シラブルごとにちゃんと読むまないといけない。この(e)のように単語の末尾のeはよまは音にならない。「フィギュア」のように「ア」としているが、実際は「ア」ではなくR音=喉の一番深い生のままの音である。

the fact that I’m celebrating

シラブル分割は thef/fact/that/I’m/cel/leb/rat/ting

少々長くても、シラブルを全部繋げるとネイティブの発話に近づく。

 

以上5箇所が特にスリービートを理解しやすいと思って抜粋したが、他の箇所でも同じ要領でスリービートの教材になり得ることも付け加えておこう。スリービートの理屈、法則性が理解できれば、自分でシラブル分割をして発音する練習もできるのである。

 
 

映画「生きてこそ」究極の選択を迫られた人々を真摯に描き切った名作

 

本画像
 

1993年のアメリカ映画「ALIVE」、邦題は「生きてこそ」というこの映画は、公開当時良くも悪くも「問題作」として話題に上がっていた。その時は結局観に行かなかったのだが、ずっと気になっていた映画の一つである。実話を元にしたドキュメンタリー小説「生存者」が原作の映画だ。

 

極限状態が浮き彫りにする人間の光と闇、そして崇高なる精神

 

1972年のウルグアイ空軍チャーター機がアンデス山脈に衝突した事故で、乗客はステラ・マリス・カレッジのラグビーチームのメンバーとその関係者だ。

 

有名な話ゆえにネタばれとはならないと思うので書くが、食糧が尽きた彼等は、最終的に先に逝った乗客の人肉を食することで飢えをしのぐ「究極の選択」の物語なのだ。 

 

日本でも戦時中類似した事件=ひかりごけ事件があり、この事件を題材とした武田泰淳の「ひかりごけ」という小説を筆者は読んでいる。それはあくまで当事者への取材は無く現地の噂などをもとに書かれているので事実とは言えない 

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重過ぎる主題を選ぶのもクリエイターにとっては究極の選択だ

そもかくこの映画の主題自体が半端ではない。これを選ぶこと自体も、クリエイターにとってまさに「究極の選択」である。この映画を制作したプロデューサーや監督に敬意を表したい。

 

さて、映画は事件発生の前から始まり、多くの死傷者を生んだ悲惨な事故と直後の状態を描く。

 

現状を把握して、希望を捨てずリーダーシップを取るもの、取り乱すもの、怪我人を労わるもの、自己中心になるもの・・・・という、人間ドラマが展開される。

 

筆者はこれをこれを英語喉による聴き取りで、字幕なしで観た。英語喉的に感銘した場面をひとつ。ある夫人はぐしゃぐしゃに潰れた機体で両足が挟まれていて激しく取り乱す。なんとか若いメンバーが助けようとするがなかなか上手くいかない。

 

彼女は泣きわめき、夜にもずっと泣き言恨み言をわめき続けた。それに対してある若者が耐えきれず "Shut up!" と彼女に叫ぶ。 

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原語のままで観れば異邦人のセンシビリティが感じられる

 

ある朝彼女は既に逝去していた。若者たちが彼女に祈りを捧げる時に例の若者が泣きながらこう言った(のだと思う・・・そう聞こえた)

 

I told shut up....  what did I do?  Now she is dead....  I’m so ashamed...  Oh... God... Please...  forgive me...

 

そう嘆く彼に別の若者が彼の腕にそっとふれつつ、声と言うよりも息だけを使って小さくこう囁く・・・・・

 

Take it easy...

 

本当にかすかに囁くようなセリフだが、字幕に頼らず見ればしっかり意味を持って聞こえてくるものだ。

ああ、こういう "Take it easy" もあるのか・・・・と思った。

 

"Take it easy" という言葉の持つイメージは、筆者にとって「気楽にいこうぜ」「気にすんな」だった。勿論それが主たるものだろうが、こんなにも人を優しく労わり、心中の辛さを察して言う "Take it easy" もあるのだと思い知ったひと幕だ。

 

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究極の選択を前に問われゆく人間の尊厳

 

さて物語はこれから核心に迫っていく。敬虔なクリスチャンである彼らが究極の選択に到る過程は、非常に重い場面になる。

 

テーマがテーマだけに賛否両論あって当然だが、未だ観てない人には、この映画は一見の価値はあると伝えておきたい。

 

「究極の決断」をするための話し合いは非常にシリアスだ。おそらくかなり忠実に再現されているのだと思える静かな、しかし底流で流れる迫力がある。

 

彼らは真剣に議論した。生き延びることを義務と捉えるなら、そのために必要な蛋白質を摂る方法はそれしかないのだということは紛れもない事実。一部の者を除いて、彼らは決断する。

 

それでも60日を過ぎると皆心身ともに激しく衰弱してくる。そんな時に一人が乾いたユーモアを込めて無表情に友人に言う言葉はぞくっとした。

 

Are you surprised how long people live like death?

 

ニュアンスとしては「人って死んだようになってさえ、こんなに生き続けるんだ、ちょっとびっくりだよな?」みたいなところか。

 

また比較的体力が残っている数名が麓に降りる挑戦を続けるが、どこまで行っても雪雪雪、雪の向こうに雪、雪を超えて雪。

 

一人が絶叫する。

 

There're nothing but snow!!

 

しかし不屈の・・・・

 

いや、これ以上は・・・書きたいが、制作した人たちへ敬意を払い、伏せておくことにする。

 

ともあれ、答えの出ないテーマを背負った映画だが、荘厳で格調高い、そして圧巻のヒューマンドラマであることは間違いない。

 

 

 

 

「生きてこそ」も無料で観られる

 

ジェミニマンのウィル・スミス【HITCH】はネイティブ太鼓判の英語上達ツールだ!

 

あるネイティブ友人が以前、「HITCH」という映画をとりわけ英語を学んでいる日本人に強力に薦めまくっていたことがあった。2005年のアメリカ映画「HITCH」(邦題:最後の恋のはじめ方)はウィル・スミスが主演のラブコメディだ。

 

Hitch映画画像

https://deadline.com/2014/10/hitch-series-fox-will-smith-857697/

 

 Contents

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ウィルの英語に顕著な「シラブルのスリービート」とは?

 

彼曰く、「内容は洒落ていて、しかもアメリカ人が日常に使う言葉や言い回しがふんだんに盛り込まれている上に、俳優たちの語り口がほとんど日常会話の感じなので勉強になるぞ」ということだった。

 

筆者自身はラブコメディ系はあまり興味がなかったので、そういうことでもなければ一生観ないであろうこの映画を、当時レンタルDVDで字幕無しで観てみたのだが、結構面白かった。テンポもいいので飽きないし、確かに日常会話だらけだ。

 

内容はウィル・スミス演じるところの、モテない男をモテる男にする「デート・ドクター」であるヒッチが彼らを指導する様子と、エヴァ・メンデス演じるゴシップ記者サラへのヒッチ自身のガチな恋が同時進行で描かれるというストーリーだ。

 

モテない男の中ではケヴィン・ジェームスが演じるアルバートが面白過ぎた。

 

印象に残るシーン・・・というかセリフがある。鼻っ柱が強く、男嫌いだが魅力的なサラが次第にヒッチに魅かれていき、出勤直前にファーストキスをした後に、初めて見せるせつない顔で、早口で呟く。英語喉に出会う前なら「ガラゴラ」としか聞こえなかっただろう。

 

 I've got to go to work.......

 

こう言って泣きそうになるサラがとてもいい。他にも洒落たシーンや洒落た会話が詰まったこの映画、たしかにネイティブ友人のいう通り、英語学習者には格好の教材になると思う。

 

※このウィル・スミスのキラーコラムに次いでアクセスが多い人気コラム!

※論より証拠!簡単に試せる「喉発音」体験法で体感してみよう!

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 子音+母音+子音・・・子音で母音を包み込む鉄則!

 

ウィル・スミスもエヴァ・メンデスも、芝居っぽくないかなりリアルな喋り方だ。そしてシラブルと喉の深い音がよく聞こえる。

 

ウィル・スミスの喋り方に関しては多くのネイティブ友人が言っていたことだが、現代アメリカ英語らしいリズムを持っているということだ。

 

それは「スリービート」と言って「喉発音」とともに、「英語喉」別名「ネイティブメソッド」の2大要素の片方である。

 

英語喉はネイティブの発音法そのものであり、特徴は口先ではなく喉で響かせことと、音節(シラブル)がスリービートなのだ。

 

シンプルに言うと、英語のシラブル(音節)が基本的に「子音+母音+子音」の3つの音(3ビート)からなるということである。

 

日本語は「子音+母音」のツービートが基本だが、ネイティブが聞くと「タカタカタカ」という風に聞こえるのだ。日本人の英語が一般的にこのツービートで話されることが、日本人の英語がネイティブに伝わりにくい原因のひとつだ。

 

ネイティブ英語は、シラブルの中心である母音を2つの子音が挟んでいて、ボォンボォンとシラブルがまろやかな感じだ。

 

確実に言えることは、スリービートを理解すると、英語が聴き取りやすくなるうえに、発話するときのリズムがわかってくるのだ。

 

日本人の英語がネイティブに伝わりにくい原因のもうひとつが、「口発音」と「喉発音」響きの違いにあることは言うまでもない。

 

※英語で話す実践の参考に!

※喉発音の破壊力がわかるコラム!

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ツービートで話すと英語ネイティブの心は開かれない事実

 

そして、喉発音とスリービートは表裏一体の関係にあり、喉発音だと自然にスリービートになる。ネイティブはそれを聞いて、自分たちの文化を理解する者として認めてくれるから、心も開き始める傾向がはっきりとある。

 

ツービートで喋ると、残念ながらそうはならない。

 

英語喉メソッドの内容についてはCD付 英語喉 50のメソッドにすべて書かれてある。

実に英語の音声現象「すべて」が書かれてあるのは驚くべきことだ。ネイティブが発話する際に起こる音声現象が、細大漏らさず説明し尽くされているので、英語喉実践者が迷ったときに立ち返る原点の書だ。

 

副読本の位置付けで、スリービートに特化してシンプルにまとめてある機関銃英語が聴き取れる!-リスニングの鍵はシラブルとビートは非常にとっつきやすい。

しかし侮れないのは、この本だけで聴き取りが向上する体験者が多数存在することだ。

 

喉発音の体得までかかる時間には個人差があるが、スリービート理論は素直な姿勢で臨めば、ほぼすぐに理解できる。分厚い「50のメソッド」に気後れする人には、先に「機関銃英語」から入るのも悪くないだろう。

 

 

 

英語喉実践のヒントを綴ったコラム集やネイティブのよく使う言い回しを集めた本、英語喉を使っての実践対話の参考になるはずだ。

     

 

さらに、英語喉小説『喉の旅』(上中下3巻)では、ストーリーに沿って「喉発音」「スリービート」に関して、わかりやすく掘り下げて描かれている。

 

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軽快な3連符系のネイティブブスピーカーのリズム

 

さて、英語ネイティブの、特に黒人の発話に顕著に感じるが、中抜き三連符のリズムに乗っかった、スリービートがよくわかる喋り方として、非常にお手本になると思う。

  

映画のシーンを切り取った程良い長さのYouTubeがいくつかある。以前に聴き取りの練習としてディクテーションしたもの、つまり聴き取って書き下した文を添えて紹介しておこう。 

 

まず最初に、ヒッチが初めてサラに声を掛ける、なかなかの名場面だ。ウザいナンパ師を追い払い、巧みにサラの名前を聞き出すくだりも含む面白いシーンである。

 

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このクリップの書き下し文は以下の通り。

 

she's some kind of newspaper columnist, comes in here once in a while. great tipper.

what's her drink?

usually beer. tonight, grey goose martini, dirty.

hi. i noticed your glass was getting low, so i took the liberty of bringing you another apple martini.

thank you.

and i couldn't help but notice you look a lot like my next girlfriend.

what's your name?

they call me Chip.

oh, you can't get them to stop?

hahahahaha, that was funny.

listen Chip. i understand the courage it takes to walk across a room and try to generate a relationship out of thin air. so don't take the following personally.

you have fantastic eyes.

thanks. try to listen. this is no reflection on you. i'm just not interested. but thank you for the compliment of coming over.

you're welcome.

so do you like cuban food?

Chip, seriously, that was not code for, i wish you'd try harder.

are you always so shut down and afraid that the right man might make you feel...

feel like a natural woman? sorry I'm late, honey. i couldn't get a cab. how was the meeting?

woowell, there was a beginning, a middle, and an end. nice to meet you, Chip.

you, too.

now, on the one hand, it is very difficult for a man to even speak to someone who looks like you. but on the other hand, should that be your problem?

so life's kind of hard all around.

not, not if you pay attention. i mean, you're sending all the right signals. no earrings, heels under two inches, your hair is pulled back. you're wearing reading glasses with no book, drinking a grey goose martini,which means you had a hell of a week and a beer just wouldn't do it. and if that wasn't clear enough. there's always the fuck off that you have stamped on your forehead. because who'd believe there's a man out there that can sit by a woman he doesn't know, and genuinely be interested in who she is, what she does, without his own agenda?

i wouldn't even know what that would look like. so what would a guy like that say?

he'd say, my name is Alex Hitchens and i'm a consultant. but she wouldn't be interested in that, because she'd be counting the seconds until he left.

thinking he was like every other guy.

which life experience has taught her is avirtual certainty. but then he'd ask her name and what she did for a living. and she might blow him off. or she might say...

i'm Sara Melas. i run the gossip column at the standard. and then he'd ask all these penetrating questions about her, because he was sincerely, if atypically, interested.

no.

no?

he'd be interested. but he'd see that there was no way. he could possibly make her realize that he was for real.

well, he could be funny and charming and refreshingly original.

wouldn't help.

don't you hate it when that happens?

not really. they'd both probably go on tolead the lives they were headed toward. my guess is they'd do just fine. it's a pleasure to have met you, Sara Melas.

grey goose martini from the gentleman who just left.

is that for me? 

 

※八村塁くんも喉発音!

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歩き方や乗馬でネイティブの体に染み込んだリズム

 

本来ミュージシャンである彼のリズム感の良さも関係してるのだろう。そして、英語喉と全く矛盾しない、ただしこれも個人的見解を続けて述べることにする。

 

音楽をやる人はわかると思うが、まず中抜き三連符を簡単に説明しよう。

 

そもそも三連(符)とは一拍=「タン」を「タタタ」という風に三分割したリズム取りである。中抜き三連とは真ん中のタを無音にしたもので「タッタ」あるいは「タンタ」のように取る。

 

彼らの歩き方自体が中抜き三連符だ。

ジャズピアニスト山下洋輔などの大御所ジャズプレイヤー達の考察からも、黒人音楽のリズムのルーツは黒人の跳ね気味の歩き方にあるとされている。

 

踵から先に着き、すぐにつま先を蹴って次に踵を着くまでに間があり、それが三連符の中の音になるということだ。それが様々な黒人音楽の大元のリズムだと。

 

いわゆる黒人ブルースの基本リズムだ。また大陸の開拓者たち白人の視点から見れば、これは乗馬のリズムという説が唱えられている。

 

開拓時代の移動手段である乗馬のリズムも、関係しているという説もある。

 

要するに当時支配する側の白人も、支配される側の黒人も、ともに三連符系のリズムが身体に刻まれ、アメリカ開拓史とシンクロして白人のDNAに脈打っているのかも知れない。

 

そして人種の違いも飲み込んで、これらが現代アメリカ英語のリズム形成に何らかの影響を与えているのであないだろうか。

 

だからイギリス英語よりもアメリカ英語の方がリズムが弾んでいるというか、跳ねている。ボォンボォンとスリービートが顕著である。基調としてこのリズムが底流に脈打っている感じだ。

 

※大人気ビートルズ小説風コラム

 

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スリービートによるシラブルの読み方を解説

 

このクリップでも出てくる "you're sending all the right signals" (ディクテーションの青字部分)はとても参考になる。まずシラブル分割はこうだ。

 

you're/send/ding/nall/ther/right/signals

 

ちなみに赤字のg/nの部分がなぜg/gではないのかを説明しよう。

sending all は多くの場合 send/ding/gall とはならず、ng の後に母音が続くとg音がn音に負けて ding/nall となる。あまりG音が聞こえず「センディノール」みたいに聴こえる。

 

ただしG音を発しないのとは違う。dingのnで舌が上あごの裏に触れ、続いてgを響かせるが、その直後にallのA音に向かって舌が離れる時に、G音以上にN音が強く響くし、発話者自身もN音を発した感じが残るのだ。

 

また、最初のyou'reはシンコペーション(弱起)であり中抜き三連符=タンタの最後のタに当たる。

 

つまり you're sending all the right signals を

 (ンン)タ/タンタ/タンタ/タァン/タンタ/タンタ のリズムに乗って読むということだ。

 

書くとややこしいけれど、音声を聞いてリズムを掴んだら意味が分かると思う。同間隔の1拍でも1シラブルの時もあれば2シラブル、場合によってはそれ以上もあり得るということだ。

 

ここは・・・ちょっと表現がややこしい部分だ。つまり、シラブル自体が1拍という捉えかたは分かり易いので、例えば「springは1拍で読む」のように英語喉でも表現する。

 

しかし、ここでいう三連符のコンセプトを説明する場合、混乱を避けるためここでは1シラブルが「1拍」ではなく「1音符」としよう。そして all the right なら3シラブル=3つの音符だ。3つの音符を2拍で発話するのだ。

 

2拍= タンタ/タァン =  all/ther + right  のリズムで読むということだ。

 

ナンパ師を追い払うために、彼の言葉にかぶせて言いながら割って入る時の、

feel like a natural woman(紫字部分)も分かり易い。

 

シラブルは 

feel/like/kan/nat/tur/ral/wom/man 


8音節を4拍で言っている。

感覚的にはタァンタタァンタタァンタタァンタのようにまるでアーバンブルースのようなスィンギーなリズムで言っている。

 

ま、きりがないぐらい他にも参考になる発話が散りばめられているが、ともかくウィル・スイスの英語をじっくり聴けば、その底流のリズム=中抜き三連が随所に感じられる。 

 

※日本人でもできる喉発音!

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スリービートを意識して聴いてみよう

 

もうひとつのクリップはこれだ。

 

 

what'd you say?

do you want me to go get them and bring them over here?

no, no no no no, don't, don't, don't do that.

oh, are you saying you don't want to talk to them because you can't go home with them?

hey, what'd you want to me? i'm just trying to keep my head above water.

hey, have you ever heard of this guy called the date doctor?

urban myth.

really?

absolutely.

i was kind of hoping he also helped women.

casey, you're not sick. you're single. you just have to relax and enjoy the ride.

i haven't been ridden in months.

on that happy note, I'm going to go see if anybody interesting came in tonight.

you mean, besides me.

right.

bye.

i'm going to go get those girls, bring them over here, and we'll have a conversation like human beings. then you're going to home, and i'm going to take them back to my apartment.

well, that sounds like fun for me. but you know, might want to get in line, pal.

hey, girl.

hey, how are you?

hey, baby, can i get a couple coronas at the pool table, please? thanks.

excuse me. excuse me...

lime wedges in the bottle's fine.

hey, asshole, i don't work here.

wow, uh, i'm sorry. you, uh, the paramedics will have to come to get my foot out of my mouth, sweetheart.

just don't let it happen again.

i knew you didn't work here.

you did?

how else was I supposed to get you away from all those guys?

why would you want to do that?

some guys naturally develop a comfort with the opposite sex.

they like women, women like them.

everything flows naturally.

 

ネイティブの発話に込められている、ひとつひとつのシラブルのスリービートが感じられただろうか。それを感じるだけでも、聴き取りは必ず向上する。

 

また、日本人でも英語喉をやって喉発音を習得した上で、シラブルのスリービートをこの三連符のリズムに乗って、基調の「1拍」内に、自在に自然な感じで「1~2シラブル」を込めて喋れるようになれば、ネイティブにビンビン通じる発話になることもまた、間違いない。  

  

 

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